+ FORGOTTEN DESIRE +
今日もまた 失敗したなって、
遠い、少し霧のかかった 山を見ても、
「がんばれ」とは 励まされない。
「あ〜ぁ、またかよ」 なんて声がする。
そんな山に 腹が立って、
足元の小石を蹴った。
あの山にぶつけたくて。
でも、小石は ポーンと飛んで、
数十メートル先で ポトリと落ちて、
コロコロ転がり ピタリと止まった。
もちろん山には 届かない。
山に 「ばーか」 と叫んだら、
「ばーか」 って言い返された。
さっき蹴った小石に 近づいて、
またポーン と蹴飛ばした。
届かないって 知りながら。
当たらないって 知りながら。
「ばーか」って言ったのが 自分だと知りながら。
何度も何度 も繰り返す。
飛んでは落ちて転がって それから止まって。
失敗して腹立てて「ばーか」って言って 言い返されて。
全部自分がしたことなのに、
今も山に八つ当たり。
山の言葉が私の言葉だって知っていても、
私はきっと また繰り返す。